内科や婦人科で・・
「膀胱炎ですね、お薬出しときますね!」ということ、よくありますね。
これが、お薬の効かない、耐性菌を増やしている元凶のひとつかも知れません。
泌尿器科では、きちんと原因菌を調べて、効果判定をします。その上で必要なお薬をさらに追加することもあります。
最近の朝日新聞の記事を添付します。
膀胱炎に抗菌薬が効かない大腸菌 健康な人にも
〜膀胱炎治療に影響の恐れ〜(朝日新聞 2019年11月27日)
細菌の感染症の治療に非常によく使われる抗菌薬(抗生物質)が効かない大腸菌が、健康な人にまで広がっている。簡単に治っていた膀胱(ぼうこう)炎でも最初の薬が効かない可能性があり、最初の受診時にどの薬が効くか検査しておかないと、治療が長引く恐れがある。大腸菌は、抵抗力の落ちた患者では肺炎や敗血症といった重い感染症の原因になるが、健康な人でも尿路に入って膀胱炎を引き起こす。日本感染症学会などの指針(2015年)によると、膀胱炎の第1選択薬はフルオロキノロン系、第2選択は主にセファロスポリン系。いずれも飲み薬だ。
これらの薬が効かない大腸菌が増えている。厚生労働省が27日に公表した報告書によると、何らかの病気で医療機関にかかった患者のうち、尿や便などの検体から見つかった大腸菌で、セファロスポリン系のセフォタキシムに耐性を持つ割合は18年に28%。フルオロキノロン系のレボフロキサシンは41%だった。
この割合は近年、上昇し続けており、報告書は「特に重点的な対策が必要」と指摘した。耐性菌は抗菌薬をたくさん使う病院内で主に問題となってきたが、薬剤耐性の大腸菌が薬を使っていない健康な人にも広がっているとみられている。
セファロスポリン系に耐性の大腸菌の多くは、00年以降に世界で大流行しているESBL産生菌とみられている。ESBLはセファロスポリン系などの薬の成分を壊す酵素で、ESBL産生菌は、フルオロキノロン系にも耐性のことが多く、その場合は、両方の薬が効かない。
日本化学療法学会など3学会が15~16年、普通の膀胱炎になった10~40代の女性220人の尿から見つかった大腸菌を調べると、6%がフルオロキノロン系に耐性で、4%がESBL産生菌だった。同学会理事長の清田浩・東京慈恵会医科大学葛飾医療センター教授(泌尿器科)は「以前はゼロだったことを考えると決して少なくはない」と指摘する。
「最初の薬が5%ぐらいの確率で効かない状況になっている。どれが効くかを調べる検査が欠かせない」と清田さん。ただ、結果が出るまでに数日かかり、検査をする医療機関はまだ多くないという。「医療者への啓発だけでなく、患者から検査を求めていくことも大切だ」と話す。
国内で使われる抗菌薬の9割は飲み薬で、セファロスポリン系、フルオロキノロン系、マクロライド系の3種類が特に多い。これらは、効果のないウイルスが原因の風邪にも処方されることがある。風邪で広く使われることと耐性菌が増えていることの因果関係は不明だが、名古屋大の荒川宜親教授(細菌学)は「きちんとした検証が必要だ」と指摘している。
一方、政府も16年につくった行動計画で、この3種類の飲み薬の使用量を20年までに13年の量の半分にする目標を立て、18年までに2割弱減らしている。(阿部彰芳)
朝日新聞2019/11/27